移動距離:51.8km
Google推定所要時間:10時間40分
実際にかかった時間(休憩など含む):17時間30分
泊まったところ:南草津駅近くのネカフェ
7:30 関宿近くのローソン
ここで朝ごはんと、コンビニがないことを見越して昼ごはんを買う。
久保:あ、それ昨日書いてたやつ。
江坂:そうそう。いい感じにできたでしょ。
久保:宿主はこういうの作ると誰か声かけてくれるかもって言っていたけど、「嵐を呼ぶモーレツ名古屋の冒険家」って、こんなんじゃ逆に声かけづらいわ。クレヨンしんちゃんの映画かよ。
江坂:しまった、ほんとにしんちゃんみたいになってんな。無意識だった。
8:05 国道1号線
久保:やばい道わかんない。ちょっとまって。Googleマップで調べるから。
江坂:もう昨日のジャンクション事件のせいでGoogleマップを全く信用できないぞ。
結局道は散歩してたおじいちゃんに聞いた(それも間違ってたけど)。
江坂:草しかない山の道に、なんかある。
久保:これはなかなか珍しい。エロビの自販機だ。山道の定番だけど実際に見るのは初めてだ。
江坂:久保からは俺が知らない情報ばかりが出てくる。いったいどこで手に入れてんだ。
8:35 ガッツリ山の中
江坂:道が本格的になってきた。昨日とおとといの1号線沿いとは大違いだ。
久保:左は斜面で、街灯もない。夜にここを通って峠を越える人もいるらしいけど、考えられん。
江坂:クマでもシカでも出てきそう。
久保:シカはほんとに出るらしいね。
江坂:昼でよかった。
10:00 小休憩
気休めにエアーサロンパスを吹きかけて士気をあげる。
10:15 鈴鹿峠
江坂:ここ、昨日の宿の主人が言っていた鈴鹿峠の鏡岩。
久保:岩の向こう側はすぐ崖になってて、下の道路を走る車が小さく見える。落ちようと思えば落ちれるな。死のニオイを感じる。
江坂:落ちるなよ。
10:40 鈴鹿トンネル前
久保:ただの甲賀の標識の前で忍者のポーズとるなんて、今日で3日目になるのに余裕あるな。
江坂:歩きって足が痛くなるだけであんま疲労は出ないからな。足の痛みは前の2日で慣れた。歩き旅って意外といけるもんだ。
江坂:シカの標識。ここは1号線沿いでもほんとに山だ。信号も店もなんもない。
久保:こっからはしばらくこんな道が続くのかぁ。もうトラックとかの排気ガスまみれ。
江坂:俺らは口から排気ガスを吸うのにケツから排気ガスを出せないから不条理だよなぁ。
11:30 昼休憩
この像のある小さな公園で昼ごはん。このあたりは店もコンビニなかったので買っておいてよかった。
13:10 国道1号線
江坂:トラック、田んぼ、山。もうこの景色にも飽きてきた。
久保:久しぶりに東海道っぽいものが。デカ灯篭。奈良の大仏くらいの高さある。
江坂:灯篭のモノマネして写真撮りたいけど、今はそんな余裕はないな。
久保:ついに恐れていたものが。この先しばらく歩道がない狭い道路だ。しかも車はめちゃめちゃ通る。
江坂:急に疲労感が出てきた。
久保:今まではなんとか迂回してきたけど、今回ばかりは迂回ルートすら全く見当たらない。
江坂:仕方ない、もう田んぼの縁の盛り上がってること歩くしかないよ。
久保:こんなとこ歩くの小学生ぶりだよ。やっぱりGoogleマップは歩道関係ないんだ。
15:45 国道1号線の横の道
久保:ここ1号線に歩道はないけど、横に細い道あって助かった。
江坂:道がくしゃくしゃすぎる。右の茂みに死体とかありそうで怖い。
久保:死体よりもこの先道があるかどうかが怖い。
16:20 水口宿
久保:水口宿は比較的町並みが残ってるほうだね。
江坂:うん。でもこの通学路の立て看板、主張しすぎてる。もうちょっと右に置いてほしかった。
久保:最悪ここで一泊して明日草津を目指すけど、足大丈夫そう?
江坂:初日から痛めてた膝裏はだいぶおさまったんだけど、今日は足首が痛い。でも全然歩けるレベルだから草津行こう。
江坂:もう日が暮れてきた。1日の終わりを感じる。
久保:でも距離でいうと、今日の目的地まではまだこれで半分くらい。残り25kmもある。
江坂:昨日なんて出発が5時とはいえ14時くらいには目的地に着いてたもんな。今日の目的地がいかに遠いかを思い知らされるわ。
18:00 大きめの国道1号線
江坂:歩道が工事中。道がでかいから歩道があると思って安心してたらこれだよ。
久保:ここ通るのは厳しいな。また迂回だ。
江坂:今回の旅を通して歩道のありがたみを実感してるよ。ホントに。
久保:夜の暗さの中で歩くのは今日が初めてだ。
江坂:昼と景色がぜんぜん違う。暗い中歩くのってやっぱ怖いわ。
久保:その点この道沿いは店がいっぱいあって、明るくていい。
江坂:昼の間山とトラックしか見てなかったから、店があるだけでも安心感がすごい。
22:00 湖南北部
久保:急に冷気が漂ってきた。右の方にもう琵琶湖があるんじゃないか。(暗いのでよくわかっていない。)
江坂:まだ草津にもついてないんだから、こんなところに琵琶湖があるわけがないだろう。
久保:琵琶湖じゃなくても琵琶湖のしっぽくらいかもしれない。だとしたらそれは琵琶湖だろう。
江坂:いや、そうとは言えない。例えばトラがいたとして、そのしっぽをだけを見てそれがトラだということはできない。あくまでトラのしっぽでしかない。
江坂は足の疲労からペースがだいぶ落ちてきた。話の内容もだんだんピリピリしたものになってゆく。
このあとひたすら草津を目指して歩いた結果、暗くて変わらない同じような景色、ひたすらまっすぐ続く道のため、途中久保は悟りに入り、江坂は闇落ちした。具体的に言うと、久保は歩くスピードが上がって、江坂は常にイラついていて全く口がきけない状態になって、精神が崩壊した。
疲労と痛みのせいで、あてのないイライラ感が湧いてきた。それから次第に会話でヘイトが溜まるようになっていって、久保がしゃべるたびに腹が立った。このへんから久保との距離がどんどんひらいて、久保が速いのか、それとも自分が遅いのかという問いがイライラ感とごちゃまぜになってずっと頭の中でぐるぐる回った。記憶が曖昧だけどたぶんこういうプロセス。(江坂談)
俺もあれは地獄だったよ。太ももは棒になったかのようで、左右には動かなかった。もうロボットだよ。足を前後に動かすだけのロボット。昨日草津まで行こうと言った江坂を恨んだほどに疲れてて、視界もぼやけた。そのうち江坂の歩くペースが落ちてくると、もうコイツは置いていこうという気になった。それからしばらくして足の痛みは消えてどんどん歩けるようになってきた。「ランナーズハイのウォーキング版やないかい!」と1人突っ込みをしてふと振り返ると江坂はいなくて、急いで道を戻ったら江坂は硬い表情。話しかけても無視される。まあ、気持ちもわからんではなかったが。(久保談)
しばらくは二人とも無言で嫌な空気が続いたが、ある時久保のiPhoneの着信音で江坂がカムバックしたのでなんとか歩き続けられた。
25:00 極楽湯に到着
温泉が閉まる1時間前に到着。ここはもうほとんど記憶がないが、初日の温泉とは違って髪の色が明るい学生の群れが幅を利かせていたいたのであまり気分は良くなかったことは覚えている。
26時に温泉を出て、近くにあったネカフェに行った。次の日は距離も少なめなので、起床予定は8時にした。
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