大学生の自由研究
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2015/03/22
書いた人:江坂大樹&久保裕太郎


移動距離:19.3km
Google推定所要時間:4時間1分 実際にかかった時間(休憩など含む):10時間20分











8:20 出発


江坂:今日は目標が約20kmだから、いままでに比べたら楽勝だな。



9:00 国道1号線


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江坂:すまん、昨日の足の疲れ全然とれてない。今までに比べて圧倒的に痛みが残ってる。

久保:今日はペースもだいぶ落ちてるな。きのう温泉でマッサージしたか?

江坂:したした。あとネカフェで足冷やしまくった。そのせいで2時間しか寝てない。

久保:それ、冷やしすぎて逆にだめなんじゃないか。



10:00 イオンモール草津前


江坂:まったくテンションが上がらない。写真撮る気すら起きない。少ししか寝れなかったのがまずかったか。

久保:やっぱり4日目ともなるとボロが出てくるね。まあ今日は距離短いからゆっくりめのペースでもいいけど。


江坂:うわ。ヤバイ。

久保:どうした?大丈夫か?

江坂:悪い、ウンコいきたい。

久保:なんだよ。驚かせんな。足かと思った。

江坂:足も結構やばめだけど。



10:25 琵琶湖


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久保:琵琶湖だ。

江坂:うん。(無気力)

久保:スワンボートあるかな。このでかい湖でスワンボート漕いでみたい。

江坂:そうだね。(全く話が入ってこない)


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テンション上げるために写真を撮ってもらう。にもかかわらずこの表情



11:20 由美浜付近


江坂:うわッッッ!!?

久保:どうした?

江坂:右足首がものすごく痛い。歩けないほどに。ちょっと歩くの厳しいそう。

久保:じゃあ休むか。ホント無理はすんなよ。


江坂の足の痛みが引くことを期待して、ここから近くにあった喫茶店でしばらく休んだ。3時間くらい休んでいたが、結局痛みは全く引くことはなかった。


久保:右足首取れちゃったらまずいから、もう電車使って帰りなよ。

江坂:いや、やっぱどうしても諦めきれん。京都行きたい。

久保:じゃあ歩ける?

江坂:ホントに悔しい。でもすいません。もう歩けないです。帰ります、愛知県に(泣) あとは任せた。


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京都を目前に、涙のリタイア


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痛々しいボードを久保に引き継いでもらう


江坂はタクシーで大津駅まで行き、そこから電車で愛知に帰った。久保は一人で京都を目指すことに。


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右足首の腱鞘炎。全治約5週間


ここからは久保だけになります。





書いた人:久保裕太郎

執念の魔人散りぬ


前日、いままでの進行ペースを遥かに凌駕する距離(実に2倍以上)を歩いた我々であったが、関宿から草津市まで休憩を殆ど取らずに歩き通したことはいささか軽率であったかもしれない。(僕個人としては、無茶をすることでランナーズハイならぬウォーキングハイを体感できてある意味満足していた。)


琵琶湖大橋を渡り、大津市に入ったあたりで江坂がリタイヤするという事態に陥ってしまったのである。


結局は足首の腱鞘炎(足の怪我ではかなり治りにくい部類)であったのだが、彼はこの時点では旅を諦めきれず、休息を取った後に旅を再開するつもりでいたらしい。常人ならば即座に旅を中止し医師の判断を仰ぐだろう。


この時、彼は悔しさと精神・身体的苦痛の狭間にあり、冷静な判断が出来ず、リタイヤをいくら進めても全く聞く耳を持たなかった。


終いにはカニ歩きをしてまで旅を再開しようとしたが、流石に無理であることを悟ったようでようやくリタイヤを決意した。


高校時代の江坂のイメージを引きずったままでいた自分を反省せねばならない。(これにしても全く勝手なイメージであるが)精神的に弱いやつだと決めつけていた江坂は気付かぬうちに「執念の魔人」となっていた。


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決意が刻まれた段ボールを受け取り、江坂を見送る



15:20 由美浜付近


江坂を見送り、一人寂しく歩き始める。



16:20 逢坂


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緩やかな坂が続く道で、ウォーキング中のおじさんを次々と追い抜く


程よい傾斜の坂であった。また踏切も珍しいものを見ることができた。(第3種踏切かな?)



16:50 京阪線 追分駅


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トイレくらい設置してくれ! ていうかどこかにあるの?


追分駅のあたりまで来ると尿意がピークに達した。トイレなどどこにでもあるだろうと高をくくっていたのだ。


しかし、あてにしていた追分駅とその周辺を探してもトイレはなかなか見つからなかった。今思うと、我慢してずいぶん変な歩き方をしていたと思う。


結局、それから十五分後、公園のトイレを利用するのであった。



17:10 旧東海道マップを発見!


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ここまで来ると「6km=すぐ」と脳内変換されるようになる
(実際は一時間半もかかってしまった)


ここからは旧東海道に沿って歩くだけだ!足取りも軽くなったといいたいが、狭い道を人も車も多く行き交うので思うようには進まなかった。



17:25 道しるべ


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六条ということは「6-3=3条大橋」やな!もうすぐや! (脳内リプレイ)



17:40 看板


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ここにも岡崎(愛知にもある)があるんか!この旅を通して、下らない事でいちいち喜びを感じるようになった。


この先は長い上り坂を進むことになる。車が多く、排気ガスをかなり吸ってしまった。


おじちゃんやおばちゃんが上り坂を自転車で必死に漕いでいるのを見ると元気をもらえる気がした。


そういえば、坂の中腹あたりで、自転車で坂を下る若い女性とすれ違ったのだが、すれ違う瞬間その女性が「シャーリャヘイッ!」と奇声を発したのだ。その時背筋が凍りついたのを覚えている。


怪談というものは案外こんな小事件が伝播する過程で成り立つものなのかもしれないなどと思った。



18:10 ようやく下り坂


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ジャッキーチェンの英雄故事を歌っているといつのまにか下り坂になる
「パンチンゴー ガンホンチー ペンチョンヤサンティー!」



18:15 蹴上駅の近く


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以前、家族で旅行に来た時、歩いた道なのだがこの時は分からなかった


あと少し、ラストスパートは早足で駆ける。道路沿いの店の名前を使った、自作ラップを歌いながら高速で移動する。


*一部抜粋↓
「○○フトン! ココチヨイ! オーチェケラッ! △△ショクドウ メチャ オイシー! 」



18:40 ゴール: 三条大橋に到着


ついに最終ゴールまでやってきた。記念碑とかを探すが全然見当たらない。


唯一あったのは「駅伝の歴史ここに始まる」というものだけ。「もっと何かないのかよっ!」と心で叫んだ。


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名古屋からの旅人を出迎えてくれたのはコイツだけだった


とりあえず、河原まで階段を降り、三条大橋の下で記念撮影をした。途中のコンビニで購入したみたらし団子を食べながら余韻に浸った。


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道中を思い返すだけで涙があふれてくる。余韻にもう少しだけ浸っていたかったのだが、上から「あいつ段ボールもって何してんだ?キャハハ!」と若者の声がした瞬間はっと気付いた。


僕がここに至るまでの経緯を知らなければ、僕は川の前で段ボールを掲げながら地鶏している「変な奴」でしかないことに。


「いとわびし」、興は一瞬で冷め、僕は早々そこを立ち去った。最終ゴールに達した時点でこの旅における「徒歩以外の手段を用いない」という「縛り」は外れたので、とりあえず三条京阪駅から地下鉄で京都駅まで移動した。



19:35 京都駅


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京都タワーが見える


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京都タワーの地下三階には大浴場があることを知った
最終入場時間ギリギリであったので入らなかったが...


京都タワーを出て、夕食を取った後、近くのダイコクドラッグで湿布とボルタレンを購入した。隣国からの買い出し旅行者で店内は溢れていた。


「旧正月なのかな」などと考えながらレジに並んでいると、店員さんに英語で案内された。旅行前に気合を入れるために刈り上げにしてもらったのだが、もともとえらが張っていることもあり、買い出し旅行者の一人だと認識されてしまったようだ。


自分で納得してしまったので、中国人の振りをしていた。やはり僕のルーツは中国にあるのだろうと再認識した。


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以前、この番組に出てきた中国人青年を見て、自分のルーツは中国にあることを確信していた。
NHK BS世界のドキュメンタリー 「中国教育熱のゆくえより」



20:20 空いてる旅館が見つかる


この日はサウナ施設で仮眠をとるつもりでいたが、偶然にもビジネス旅館を発見したのでそこで素泊まりすることに。






後日談(江坂)


書いた人:江坂大樹

こんな感じで4日間の歩き旅が終わった。


歩きなら多少無理しても大丈夫だろうと思ってたら本当に足首を壊した。(この日以降、治療のため移動が困難になり、埋まっていた予定がすべてパーになったのはシャレにならなかった。)


そのうえ予想外に精神も壊れたのでたまらない。


今回の旅の結果は、「歩いて4日で京都まで行け」とか、「40km歩いたあと30km歩いて、それからまた連続で50km歩け」とかいう命令を断れるので、今後非常に役に立つ。そんなことをすると頭はおかしくなるし足が壊れるという理由がここにある。


それから、久保は単独での行動があまり得意ではないにもかかわらず、僕の限界のせいでひとり滋賀県に置いて先に愛知に帰ることになってしまったのは申し訳なかった。


特に、本来僕が受けるはずだったののしりを、ボードを引き継いだことで久保が受けることになってしまったのが一番申し訳ない。





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