大学生の自由研究
連載
最終更新日 2016/08/30

若干自由な音楽研究


毎週水曜日更新




キタダが毎週音楽の話を勝手にします。音楽以外の話もします。別に研究というほどのものでもないです。








第3回(2016年8月24日)


Neil Young "Everybody Knows This Is Nowhere"


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こんにちは、キタダです。第三回です。だんだん涼しくなってきましたね。


さて、先日アップされた新メンバーの角間君の記事はみなさんお読みになったでしょうか。読んでない人は今すぐ読んでください。面白いです。 角間君の記事は無人島の話でしたので、それにちなんで…というほどでもないですけど、今回は無人島っぽいアルバムです。「無人島に持っていきたいアルバム」というありがちなやつではなくて「無人島っぽいアルバム」です。「無人島に持っていきたいアルバム」って、「NO MUSIC NO LIFE」と同じくらいダサくないですか?




(前回のジャジューカもそうですけど、海外である程度有名なアルバムはどっかのだれかがだいたいYouTubeにフルでアップしています。すごい時代になったもんですね。いいか悪いかはともかく。)


それはさておき、無人島と聞いて僕が連想するのは、無人島に墜落した飛行機の乗客の少年たちが何やかんやで凄惨な殺し合いを始める小説「蠅の王」と、「ドラえもん」ののび太が無人島に家出して髭がもじゃもじゃになるまで帰れなくなる話です。僕の中で無人島というのは殺し合いをする場所か、さもなくば髭がもじゃもじゃになる場所です。ちょっと勘弁してほしいですね。 無人島にあこがれる気持ちも分からなくはないですが、知に働けば角が立つのが嫌だからといって、無人島でロビンソンクルーソーするのはやめておいたほうがいいです。とかく無人島も住みにくい。


僕がもし無人島に取り残される羽目になったら、早々と生き延びることを諦めて、一人で音楽でも聴きながら野垂れ死ぬのを待つのではないでしょうか。そういう、「無人島で一人野垂れ死ぬのを待っている時」にこのアルバムは相応しいと思います。シチュエーションがおかしすぎることには目をつぶってください。


ニールヤングは、あえて僕が説明するまでもないほどの大御所ミュージシャンなのですが、やはり彼の独特の高い声も、お世辞にも上手いとは言えないギターも、とても魅力的です。 ニールヤングはキャリアがとてもとても長いミュージシャンで、僕も有名どころのアルバムしか持ってないんですが、このアルバムは好きですねえ。 このアルバム全体に漂うなんとなく気だるげな感じがとてもいいんですよね。無人島に一人取り残されたやるせなさ、あるいは秋の無意味な感傷って感じがします。この理屈で行くと無人島と秋は親戚ってことになりますね。 1曲目の"Cinnamon Girl"のギターがなった瞬間にすべて持っていかれます。名曲ですね。 このアルバムの中で圧巻なのが4曲目の9分近くある大曲"Down By the River"です。単純なコード進行と長い長いギターソロ、ミステリアスな歌詞、ニールヤングの魅力がつまった曲であり、ザモスト無人島ソングでもあります。


このアルバムはタイトルもかっこいいですよね、Everybody knows this is nowhere、みんなここはどこでもないって知っている。無人島に取り残された心境にぴったりです。誰も知り合いがいない講義室の中とかでも似たような気分になります。 あと昔僕の父親がジャケットでニールヤングが着てるような上着をよく着てた記憶があります。昔はやせてたのに今は太っててはげかけているところも僕の親父に似ている。ニールヤングの方がかっこいいですけどね、もちろん。


今週はこんな感じです。毎週更新の大変さがわかってきました。そろそろ記事の方も書きたいですね。









第2回(2016年8月24日)


Brian Jones Presents The Pipes Of Pan At Jajouka


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こんにちは、キタダです。みなさん夏休みはいかがお過ごしでしょう。懲りずに今回も書いていきます。


さて、夏ですね。暑いですね。夏と言えば花火ですね。花火と言えば祭りですね。 僕は今年も祭りなんか行かないので、最後の花火に今年もなったなというかそもそも花火を見ていないということになりそうです。というかそもそも夏が嫌いなので、早いところ天気予報士には真夏のピークが去ったといってもらいたいです。





というわけで、今回は祭りっぽいアルバムと、祭りっぽい話です。 この「Jajouka」(ジャジューカ)は、ローリング・ストーンズの初代リーダー、ブライアン・ジョーンズが1968年にモロッコで録音した現地の民族音楽に、自身の手で編集を加えて完成させたアルバムだそうです。リリースは1971年です。




内容は、ひたすら繰り返される単純かつ癖のある打楽器のリズムに合わせて、幻想的な笛の音や呪術的な合唱が乗っているというものです。独特の浮遊感があり、ずっと聴いていられます。トリップするという感じでしょうか、とても心地よいです。 現地の人たちがよく分からない妖しげな祭り(というか儀式)をやっているのが目に浮かんできそうです。聴き続けていると、あの世に連れていかれそうになります。


ちなみに"Jajouka"というのは、現地の言葉で"Something good will come to you"というらしいですが、このアルバムを完成させたすぐ後にブライアン・ジョーンズはドラッグ中毒の悪化でバンドをクビになり、その後自宅のプールで謎の死を遂げます。ぜんぜんsomething goodがwill comeしてない。 このアルバムには彼の豊かな音楽的才能が現れているのですが、彼はドラッグ中毒でヘロヘロになり、その最後は悲劇的なものだったようです。


また、このアルバムは一部で妙な人気があるようで、作家の村上龍が作品の中に登場させてたり、中島らもが「クスリをキメながらこれを聴いてたら蓮根のお化けを見た」とエッセイの中に書いてたりします。蓮根のお化けってなんなんだ。むしろ見てみたい。というかクスリをキメながらこれ聴くな。


さて、このジャジューカやケチャなどの民族音楽やエリック・サティの作品にみられる、短い単純なメロディーの繰り返しによる音楽は、現代音楽の世界に盛んに取り入れられます。 こうした音楽はミニマルミュージックと呼ばれ、スティーブ・ライヒとかが代表的な作曲家として挙げられます。日本のロックバンド、ボアダムスとかも似たようなことをやっていますね。






こういったフレーズの反復による音楽は独特の高揚感があり、聴き続けていると意識が飛びそうになります。脱法じゃないです、合法です。 こういうのって、日本だと盆踊りとかでも見られますね。まああれも民族音楽なのですが、こういうミニマルな音楽によるトランス状態というのは、祭りという日常とは異なる場へと意識を昇華させる際にとても有用なものだったのかもしれませんね。 今年の春に全学教育棟の前で名大の某民族舞踊サークルが新歓のためのパフォーマンスをおこなっていたのですけど、ああいうサークルもやってることは同じです。 つまり、反復するフレーズと声によってトランス状態を生み出しているのですね。あのサークルの人たちがそんなことを考えているのかはわかりませんが、音楽的には似たようなもんです。




というわけで、祭りっぽいアルバムと祭りっぽい話でした。僕は人混みが怖くて苦手なので祭りには数年ほど行ってませんが(名大祭は除く)、このアルバムを聴きながら部屋で一人くねくね動いてるとかなり祭り感があります。最高の夏って感じだぜ。



今回で二回目なのですが、なにかこんなので書いてほしいとかいう物好きな人がいましたらTwitterでリプライでもしてくださいませ。書ける範囲で書きます。









第1回(2016年8月17日)


久石譲「もののけ姫 イメージアルバム」


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こんにちは。大学生の自由研究のメンバーキタダです。連載企画が始まるということで、僕も勝手にいろいろと書かせてもらうことにしました。音楽についてあれこれ書きます。一体どこに需要があるのかどれくらいの人が読んでくれるのかよくわかりませんが、飽きるまでぼちぼちとやっていきます。



今回は、久石譲の「もののけ姫 イメージアルバム」です。もののけ姫、先日テレビでやってて、ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。


僕はスタジオジブリの、ましてや日本のアニメーションの熱心なファンという訳ではありませんが、もののけ姫はすごく好きです。この映画が伝えていること、それは「人生はクソだが生きてることは素晴らしい」ということではないでしょうか。詳しく書くと長くなるので割愛しますが、どうにもなりそうもないことがあってもなんとかどっこい生きていくのが人間ってもんだよってことです。詳しくは「もののけ姫はこうして生まれた。」っていうドキュメンタリー本読んでください。


それはともかく、シシ神様のあの「歩くごとに足元から草花が生え、枯れていく」ギミック、あれを実際に作って記事にしたらめちゃくちゃバズること間違いなしですよね。技術的にめちゃくちゃ難しそうですけど。自由研究の誰かやってみませんか?それと「飛んでくる矢を素手で止めて打ち返したい」とか。どうでしょう。


あとサンはジブリのヒロインの中で一番かわいいですよね。キキもかわいいですけど。一番かわいくないのは千尋です。


(なお、「人生はクソだが~」は音楽家の小川直人さんがTwitterで言ってた言葉をまるぱくりしています。もののけ姫とは全然関係のない文脈での言葉だったのですが、ぴったりだったので使わせてもらいました。)



さて、ここからが本題です。音楽の話です。


久石譲の「もののけ姫 イメージアルバム」は、久石譲がもののけ姫のサントラを作る前にもののけ姫の設定を読んで作った、いわばサントラのデモ版みたいなものです。映画に使われた曲もありますし、使われていない曲もあります。


サントラ版は、映画の尺に合わせて作られているので、曲として聴くには短いものが多いのですが、このイメージアルバムだと、一つ一つが独立した曲としてつくられているので、聴きごたえがあります。アレンジも、和楽器がフィーチャーされていたりとサントラ版とは違っているところがあります。まあこのアレンジ違いについては好みがあると思いますが。


映画のオープニングとエンドロールで流れる「アシタカせっき」、なんど聴いても胸が熱くなります。祝福されないアシタカの旅立ちを雄大に送り出すような名曲です。


ラストシーンで流れる「アシタカとサン」もとても好きです。これ聴いてると風が吹き抜けていくような気がします。この2曲が、映画もののけ姫を象徴しているといっても過言ではありません。


「ヤックル」、なんかピョコピョコちょこまかしてて変な曲なんですけど、久石さんヤックルちょっと馬鹿にしてませんか?まあいい曲なんですけども。


「もののけ姫」は米良さんが歌うサントラ版の方が良いです。ちょっと残念。


「犬神モロの公」、映画では使われてませんでしたが、疾走感と悲壮感がありとてもいい曲です。急いでるときとかによく頭の中でこれが流れます。電車に間に合わなそうなときとか。



僕は一週間ほど前、ちょっと田舎の方に旅行に行っていたのですが、山の中を突っ走る北陸新幹線の中でずっとこれを聴いていました。あと山をみたり海をみたり、新幹線に乗り損ねそうになったりしながら聴いてました。自然に心を奪われてあやうく人間社会に復帰できなくなるところでしたが、このアルバムはとても好きです。生きましょう。







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