飲むと甘味を感じなくなる飲み物がある。その名も「ギムネマ茶」。
世の中には甘さをウリにしているやつらがいるが、そいつらから甘味を奪ったら何になるのか。
ギムネマ茶を使って、メンバーのイイムラと一緒に調べてみた。
超苦いお茶「ギムネマ茶」
「ギムネマ茶」という名からわかるとおり、ギムネマ茶はお茶である。
茶とついてお茶じゃないのは加藤茶である。
ギムネマ・シルベスタはグルマールとも呼ばれ、「砂糖を壊すもの」という意味である。かっこいい。
パッケージを見ると、しきりにダイエットと書かれている。
ギムネマ茶はとても苦く、飲むと甘味を感じにくくなるので食欲がなくなるのだ。(糖分を吸収しにくくなるという効果もある。)
やせたい人が飲むお茶である。
以前、この「甘味がなくなる」という話を聞いて、ギムネマ茶を飲んだ後にチョコを食べた。
そしたら本当に甘味がなくなって、粘土を食べているみたいになった。もったりした味のない物体が口の中で溶けた。
それで、今回はいろいろなお菓子を用意した。甘いお菓子の甘味をなくしてやろうということである。
はじめに言っておくと、甘味のなくなったお菓子を食べたときの感想は、端的にいうとぜんぶ「おもしろい」である。
食べ物じゃないものを食べているみたいな自分がおかしい。
これ、デイリーポータルZで紹介されていた「おもしろ味」である。
(参照:第七の味覚、おもしろ味 - デイリーポータルZ:@nifty)
甘さを失うとなにになるのか
今回は特別に箱に表記してある倍の濃さでお茶を作ってある。
だけどこのお茶を飲んだあとに起こる味覚マジックのことを考えればまったく苦ではないのだ。
ギムネマ茶は飲んでからしばらくすると味覚がもとに戻るので、お菓子を食べるごとに毎回ギムネマ茶を飲む。
①チョコ
まず最初にチョコ。これは前に体験しているが、再確認をしておいた。
やはり粘土になる。
チョコから甘味がなくなると、味がまったくといっていいほどなくなってしまう。チョコのほとんどは甘味だったのだ。
わずかに鼻から香ばしさだけが通って来るので、目を閉じて食べるとカカオ農園がイメージされる。人によってはガーナ人の顔までイメージされるだろう。
実際に粘土を食べるとひどい味がすると思うので、まったく粘土を食べているのと同じというわけではない。粘土なのはあくまでも食感である。たぶん粘土を食べたらこんな食感、という感じ。
これはこのあとに食べるお菓子についても同じである。
②こんぺいとう
こんぺいとうは固いので、以前から甘味がなくなると石になるんじゃないかと予想していた。
実際にギムネマ茶を飲んでから食べてみると、
こんぺいとうを噛むとカキンと割れるだろう。そこで甘味が来ればふつうのこんぺいとうなのだが、今回はなにも来ない。しいて言えば無味がくる。
そして食感は石でしかない。石を食べたことはないけど、もし食べたら絶対これである。最初ガキンとなって、そのあとバリバリである。擬音だけだとこんぺいとうはこんなにも石だったのだ。隣でこんぺいとうを食べている人が急に石を食べはじめても気づかなさそうだ。
こんぺいとうは甘味を奪うとチョコ同様に味がなくなり、食感しかない。甘味のないこんぺいとうは食べ物のおばけである。
③マシュマロ
マシュマロはふつうに食べると甘ったるいけど、ギムネマ茶を飲んでから食べると、
麩である。甘味のないマシュマロは麩。
口の中で水分を与えられて溶ける感じはまさに麩。甘味を失ってほとんど無味になっているせいもあって、麩にそっくりである。
あと、気づいたのはマシュマロは麩よりも若干ケミカルな溶け方をするので、人によってはプラスチック製品を食べているみたいにもなりそうだった。梱包材としてたまに使われている粒状のアレである。
④果汁グミ(みかん)
今回用意したお菓子の中では最もフルーティである。
果実的な甘さに対して、ギムネマ茶はどう働くのか。
みかんの甘さはなくなったが、すっぱさだけがごっそりと残った。せっかくの青春が一気に黒歴史である。
味の感想は「みかんの皮をたべちゃった」という味がする。
決しておいしいわけではないが、いままでのお菓子と比べて味が残っているので、食べていてばかな気はしない。(いままでのやつは味がないのでばかみたいだった。)
ただ、単純に食品としてのランクが下がっただけなので食べていておもしろくはない。みかんのおいしい部分からおいしくない部分に変わっただけ。
⑤クッキー
また味がなくなった。ジャリジャリした食感だけを残して。
食べたらダメ系である。
これは砂場だ。団地にある小さい公園の、粒の粗い砂場である。そこに顔をうずめてアゴを動かせば同じ気分が味わえるだろう。スコップになったみたいだ。
⑥ドーナツ
しっとりした生地が存分に油を吸っているのがわかるけど、肝心の味がない。
なんだかよくわからないけど、油を吸い込んだスポンジを食べたらこんな感じかもしれない。
今回用意した10種類のお菓子の中で最も不評だったのはこのドーナツ。味は完全にキッチンだった。ぞうきんの気分。
味はひどいけど、「キッチンを食っている」というおもしろさはある。
以下、あまりおもしろくなかったお菓子3種類はダイジェストです。
⑦ラムネ
⑧たまごぼうろ
⑨キャラメル
⑩最中
これが最後のお菓子。和の甘味代表、あんこの甘味を奪おう。
最中は「うっかり」でも絶対に口に入らないものになった。
正直なんとも言い難い絶妙な食感だったのだが、どろどろとしたあんこと小豆のつぶつぶは例えるならば溶岩である。
粘土ならまだ口に入れることがあるかもしれないけど、溶岩を口に入れるなんて現実ではありえない。まぼろしの食感である。それがファミリーマートに売っていた。コンビニエンスファンタジーである。
笑えてくる味
お菓子から甘味を奪ったとき、普段口に入れるものとはかけ離れていて、なおかつ食感をイメージしやすいとおもしろくなりそうである。個人的には食感が大地に近いほどおもしろくなった(粘土、砂など)。
それから、近くにいた人にもギムネマ茶をおすそ分けして甘味のないお菓子を体験してもらったけど、だいたい笑っていた。
甘味がなくなるということは愉快なので、ギムネマ茶はダイエットよりもパーティ向きである。
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