9月の半ばも過ぎ暑さも和らいできました。しかしこの夏と冬の狭間の過ごしやすい気候に騙されてはいけない。(日本は基本的に暑いか寒いのどっちかしかないと思っている。)僕たちは少し前まで灼熱の太陽の下、うだるような暑さに長い間苦しめられてきた。僕はそんな暑いある日、中満員電車に揺られながらニュースアプリを見ていた。するとその中に「暑い夏にピッタリ!スミノフ漬けグミの作り方」などというものがあった。初めてそのようなものの存在を知ったのだが、その画像が非常に涼しげで魅力的だったので僕は作ることを心に決めた。(しかし僕は少し目を通しただけで目的の駅についてしまったためにあまりよく読めなかったことを先に記しておく。
早速スミノフ漬けグミ作成に取り掛かる
まずは材料の調達である。材料はいたってシンプルで、
・スミノフ・・・適量
・グミ・・・適量(固めだとよいかも)
以上である。
僕は早速その記事を見た日の帰りに、ナゴヤドーム前のジャスコに寄って購入した。
我ながら無難な置きにいったチョイスである。無難なチョイスは必然的に成功率を高める(と信じてる)。
材料を購入し、舞い上がった僕は、ジャスコ内のベンチで早速スミノフの瓶の中にHARIBOを内容量の2/3程度投入した。
大体お酒と書いてあるラベルの少し上までくらいになった。どうやら体積が2倍以上に膨れ上がるほどお酒を吸うようなので万が一溢れ出ることがあるか、瓶の口から出せないほど大きくならないか心配ではあるが、このまま丸一日から二日放置しておけば完成だ、と思っていた。
投入してから8時間経過して確認してみた。なんだこの色は・・・。後ろの机のせいかな??と思い背景が白いところでも確認する。
紛れもない茶褐色である。
そして投入当初ではラベルの上ほどまであったグミもラベルを下回るほどまで萎縮している。ここから元のサイズの倍まで膨れ上がることは想像しがたい。
・・・なにかがおかしい。僕が記事の画像で見た感じだとお酒は透明のまま、グミが徐々に膨張していく感じだった。ここで記事を確認してみると、冷蔵保存だったことが判明。あわてて冷蔵庫に突っ込む。
こんな簡単な製作方法なのだからミスるはずがないと思っていたのが運の尽きだった。
しかしこれで問題は解決した、あとは明日の朝を待つのみ。さすればプルンプルンのグミがわれに授けられよう・・・。そんなことを思いながら眠りにつく。
長い夜が明けた。
トイレにもいかず早速冷蔵庫を朝一で開けて確認する。
「おっ、液体の色が透明感を増してる!成功だ!」と思いはしゃいで瓶を手に取る。
手に持った感じ液体感がないのだ。そしてよく見るとグミの姿も確認できないことに気づく。
慌てて蓋を開けたとき、僕は衝撃のラストを目にすることになった。
おわかりいただけるだろうか。
そう、全てがゼリーになっていたのだ。
失敗を嘆くより前にすごいおいしそうだとおもった。なんならもう一つの正解を見つけたような気さえする。
失敗は成功の母とはまさにこのことかと21年近く生きてきて初めて実感した。
とりあえず振って飲むゼリー飲料の要領で飲むことを試みたが、思いの外ゼリーが硬く飲むことはできなかった。
割とテンションが上がって勢いよく瓶を口に向けて振って飲もうとして、結構歯と唇と歯茎にダメージを負ったにもかかわらず瓶から直接ゼリーを飲む夢が叶わず、メンタルがやられた。
しかし目の前に美味しそうにプルプル揺れるものがあるのに落ち込んでいるわけにもいかず、長いスプーンで掻き出すことにした。
なかなかに、いや、かなり美味しそうではないか・・・。
全て掻き出し終わった。凄まじいプルプル感が画像じゃ実物の1/50ほどしか伝わらないことが悲しい。もっと3Dの技術が進むことをこの時ほど願ったことはないかもしれない。(言い過ぎ)
とりあえず一口食べてみると、
うまい。この一言に尽きる。
海外のグミあるあるの海外で作られましたよ感満載の独特の甘ったるい感じと酒の風味が口いっぱいに広がる。そして食感は紛れもないゼリー。
正直言うと海外感満載の甘さが苦手な僕はすぐにあきた。いや、美味しいんだけども。
あとなんか見た目に美味しそうな感じが少ないな、ということでサイダーを投入した。
涼しげな感じがやばい。夏の風物詩感がすごい。さすがは宮沢賢治の愛した三ツ矢サイダーを起用しただけある。ナイス采配。
しかしなんか彩りがイマイチよくないことに気づく。
緑が欲しい。
冷蔵庫を探してもパセリの姿はない。7人家族で食材は豊富なはずの我が家にもさすがに使用頻度の低い、買い物でも優先順位の低そうなものは入ってなかった。
そこで庭に出てパセリ(あるいはそれっぽいもの)を探すことにした。
結論パセリはなかった。ぽいものは3種類見つかった。
(左からクローバー、謎の植物、謎の植物)
なんとなく見た目的にも一番左の植物をチョイス。
おお、一気にスイーツ感が出てきた。ここまでくると写真写りが気になってくる。
しかしあいにく僕の携帯にはJD御用達画像加工アプリは入っていない。
途方に暮れていると懐中電灯が目に付いた。閃いた。
懐中電灯のオレンジの暖かな光に加工アプリのフィルターに近いものを感じカメラ部分に光を当てながら撮ってみると・・・
加工なしにもかかわらずこのハイクオリティである。
暖かな日の射す昼下がり、優雅に自宅のリビングで過ごしているかのような感覚にとらわれる。
実際は朝早くに冷蔵庫開けてはしゃいでるだけなのに、だ。
懐中電灯の新たな可能性に気づいたことに満足して冷蔵庫に戻しておいたら、1時間後には父親の胃の中にきちんと収まっていた。悲しい。
とはいえ、この「大学生の自由研究」にこれは非常にふさわしいものであるように思う。父親がおいしいおいしいとばくばく食っていたところにそれを感じた。
未成年への酒類、タバコの販売が厳しく取り締まられている今、果たして小中学生にスミノフにグミをつけるなどという自由研究ができるだろうか。答えはNOだ。大学生になったからこそできる自由研究の存在に気付かされた朝だった。
と、成功した感じで述べているが、これは本来失敗である事実からは逃げられない。
どうやら今回の失敗の原因は、まず第一に、購入直後に瓶に入れてすごい振りながら帰ってきたことと、冷蔵庫に入れるタイミングである。成功させるには、タッパーなどの容器にグミを並べてグミがちょうど浸る程度お酒を注ぎ、冷蔵庫で1?2日ほど放置しておくことがポイントだったようだ。
僕のは瓶の中に突っ込んで常温でがんがん揺らしたのちに冷蔵庫に入れたことで、(多分)一度グミのゼラチンが瓶の中全体に溶け出し、その後冷やされ固まってゼリーになったと考えられる。
後日この話を友人にしたところ、正しい方法で作成し、写メを送ってきてくれた。
これがスミノフ漬けグミの模範解答である。
うーん、なんとも美味しそうだ。食感は元のグミよりも断然柔らかく歯応えがなくなった感じでプルプルして美味しかったそう。またこれはスミノフじゃなく、他のお酒でもこれと同様に簡単にできるそうなので興味のある方は是非作ってみて欲しい。アルコール度数の高いもので作って罰ゲームに使うなどというのも非常に大学生らしい。最後に、暇な人がいたら僕が編み出したお酒ゼリーもここにレシピを書いたようにとても簡単に作れるので是非作って欲しい。食べたらわかる、これは失敗なんかじゃなかったと。(失敗)
やっぱりどんなに簡単なものでもしっかり作りかたを見て作らないとダメなんだなと教えられた。
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