桃太郎は鬼ヶ島に鬼を退治しに行く道中でイヌ、キジ、サルを仲間にしていった。
でもそんな都合よくいくものだろうか。
桃太郎のお供を探してみた。
きびだんごはなし
当然だけど、桃太郎が鬼を退治しにいった時代と現代では世界のようすが違うので、お供を見つける難易度も違う。
もちろん日本のどこかには昔話の時代と変わらないような村があるかもしれないけど、ぼくんちのあたりは普通に現代だ。店はなくて田んぼしかないけど。
簡単のため、昔話の世界と現代との差は原付で埋められるとしよう。昔はそこらじゅうに獣がいたところを、現代では原付の移動距離で補う。
すると僕がほとんど桃太郎になる。違うのはきびだんごを持っていないのと、仲間を集めたら解散していいところだ。あと桃から生まれてないところ。結構いっぱいある。
そしてもちろん鬼ヶ島なんてない。きっとだれかが鬼を退治してくれるだろうという堕落した気持ちで挑める。自分で考えてるけど桃太郎がこんなだったらいやだ。
のら犬なんて見ない
まず、近所に獣なんていないので、お供になってくれる野生の動物がどこにいるかわからない。(もちろん動物園のサルとかはだめ)
そこで本屋で桃太郎を予習してきた。桃太郎はどうやら山に向かう道中でそれぞれを仲間にしていったようである。
絵本にもよるが、基本的には「村はずれでイヌ、山のほうでキジ、山の奥でサル」である。だから最初にイヌを探すことにした。
ちなみにいままでに野生のキジなら2,3回見た事あるけど、野生のイヌなんか1回あるかないかで、サルは全くない。あとサルはちょっと怖い。
いきなり犬発見
堤防のじゃり道を原付でゴリゴリ進むと、先のほうにいきなりイヌが見えてきた。
首輪をつけていたのでのら犬ではなかった。しばらくすると茂みからおじさんも出てきたのでこいつは間違いなく飼い犬である。これではお供にできない。
でもなんだか動きが怪しげな感じで、飼いならされている雰囲気がない。リードを引きずっているのだ。しかも筋トレしているみたいにワイルドな体型で、その風貌はアスファルトよりもじゃり道に似合う。
飼い犬のくせにやけにのら犬っぽさを醸し出しているのでくやしい。
絵本によれば山に近づくにつれてお供を発見できるはずなので、このあとは遠くにうっすら見える山をできるだけ目指して進んだ。
でもぜんぜんのら犬は見つからない。
あまりにも見つからない(といっても2時間くらいしか探してないけど)のでツイッターでつぶやいたら、久保からリプライが来た。
よくわからないけど、のら犬は見つかるとすぐ捕獲されてしまうのでいないようだ。
イヌはいないことがわかった。しかもそろそろ村はずれを抜けたようなところまで来ている。昔話ならもうキジを仲間にするころだ。
なので残念だけどイヌは諦めて、次にキジを探すことにした。キジは今までに何回か見た事があるので、イヌよりもやる気が出た。
キジも見つからない
田んぼをチラチラ見ながら川沿いを進んだ。けどキジもなかなか見つからない。雄のキジは見た目がきれいなので、パッと見でもわかるのだが、いない。
気付いたらだんだんと山のほうへ来ていた。
山っぽいので、林もあった。
奥のほうには太陽の光も見えるので、それほど深くない林だった。だけど野生のサルがいるならこんな風に木が生い茂っているところだろうと思って、木にサルがいる様子を想像してみたら、急に怖くなってきた。
こんな間近にサル。しかも野生の。きっと林での移動はすばやいのですぐに距離を詰められる。もちろん牙も爪もあるぞ。こんな感じでどんどん恐怖のイメージが重なって、サルを見つけるのは探すまでもなく諦めることにした。
桃太郎はすごい。僕ならきっと野生のサルを見つけたらすぐに逃げる。
原付は寒い
となりに田んぼがあって、遠くに建物か山が見えるという景色もさすがに飽きてきた。
午前中は暖かかったので、半ズボンで来た。はじめのほうは原付で切る風も気持ちがよかったけど、昼を過ぎて時間が経つにつれて膝に当たる風が冷たくなってくる。膝小僧がポロリと取れそうである。
そんな時、キジが見つかった。
別に仲間になってくれるわけではないけど、さすがに見つかるとうれしいものである。
写真を撮ろうとして近づいたらゆっくりと逃げられた。別に仲間にするわけではないけど、向こうから断られている気がして悲しくなる。
多分僕はきびだんごを持っていても桃太郎になれない。
山は怖いのでサルを探す気はないし、キジも見つかった。なのでもうそろそろ帰ってもいいだろう。
帰り道、一応イヌを探しながら走った。途中矢作川に面白そうな茂みがあったので寄ってみると、のら犬がいそうな雰囲気だけはものすごかった。
のら犬はいなかったが、変な足跡ならあった。足跡から生き物を想像できない。
こういう足跡はあまり見たことがない。でもたぶん鳥だろうという感じである。
なんだこれ。
現代の桃太郎は大変だ
家に着くころには日が落ちていた。1日かけてお供を探して、見つかったのはキジ1羽。
現代ではなかなかイヌ、キジ、サルが見つからないので、もし鬼ヶ島へ鬼を退治に行こうとすると大変だ。仲間が集まらない。鬼ヶ島に着く前にくたくたである。
そしてあの丸い足跡は依然謎に包まれたままだ。桃太郎もこんなのを見たら、気になって鬼退治どころではない。
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