大学生の自由研究
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2014/12/19
書いた人:江坂 大樹

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12月18日、珍しく名古屋で雪が降った。


あまり雪が降らない地域で雪が積もったときにすることと言えば、雪合戦に次いで天然かき氷(雪を食う)だろう。


でも雪って汚いんじゃないのか。いや、汚いものをあえて食べるというある種のパフォーマンスなのかもしれないけど、いったんこのへんで雪がきれいなのか汚いのかをはっきりさせておく必要があると思う。








雪を食べるしかない


雪が降った日は普通に授業があったので大学にいったが、もちろん構内にも雪は降り積もっていた。積雪に関わらず普段からウェーイと言っていそうな連中は雪合戦を、きゃぴきゃぴした女子は雪だるま作りをやっている。


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そこらじゅうに雪だるま


そのどちらにも当てはまらないような人(例えば僕)なんかは、別に雪が降ってもやることなんて長靴を履くくらいで、特に雪と戯れることができるわけではない。


もし雪と戯れたいと思ったら、もう雪を食べるくらいしかやることがないのだ。


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雪見だいふくを食うやつもいるけど(それは久保)


久保(よく撮影に協力してくれる)はそのことをよくわかっている様子で、教室に向かう途中の道で僕に「雪を食え」と言ってきた。


雪ってあんまりきれいじゃないってよく聞くし、別に雪なんて食いたかねえよと思いつつも、あたりに広がる白銀の世界を前にすれば、本当は雪と戯れたいという気持ちを抑えられるはずがない。


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そこは別世界



目で確かめたい


雪を食べてみたが、やっぱりだめだ。「雪は汚い」というイメージのせいで、ろくに味も確認しないまま吐き出してしまった。


このままでは僕は雪と戯れることができなくなってしまうので、やはり雪は本当に汚いのかどうかを確かめる必要がある。


授業なんてそっちのけで急いで紙コップを調達してきた。


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雪を詰め込む


雑菌とか、そういう目に見えないのはよくわからない。だけど目に見えるごみが混入しているかどうかは見ればわかるじゃないか。


なので雪を解かしてごみがあるかどうかを見ることにした。もし水に何も混じっていなければ、少なくとも見た目はきれいだと言える。味はそのあとだ。


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アイスクリームみたいだ


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こんどはソフトクリーム


手がかじかむのも忘れる勢いで、5つの紙コップを雪で満たした。


気まぐれで3つは教室に持ち込み、2つは窓際のロッカーの上に置くことに。しかし授業が終わってロッカーの上を見たら紙コップがなくなっていた。どうやら雪の入った紙コップはゴミだと思われるらしい。


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僕にとってはゴミではないのに



多少汚い


適当に講義を受けていると雪が解けてきたので、紙コップの中をのぞくと、それほどでもない。


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全然見えない


ところどころ糸くずとか砂の一粒子みたいなのが見えるが、その程度だ。これがスマホの液晶保護シートの内側だったら気になるが、メガネの表面だったら気にしないレベルだろう。


しかし山盛りにしておいた紙コップは格が違った。


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そびえる氷山に降り積もる汚れ


上から徐々に解けていくにつれて、雪の中に潜んでいた汚れが頂点に蓄積されていっている様子がわかる。


やはり雪は汚かったのだ。


これで僕は雪と戯れることをあきらめざるを得なくなった。だけど他の人が雪を食ってワーキャー言っているのを見たときは、汚いもんを食っているといってばかにできるので良しとしよう。



冷凍庫の味


家に帰ってからもう一回紙コップで雪を解かした。するとどうだ。ぜんぜん汚くない。


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むしろピュア


糸くずなんかも全くなくて、生まれたての赤ちゃんみたいに純粋だ。社会のしがらみなんてまとわりついていない。どうやらなんでもかんでも雪は汚いというわけではなさそうだ。


これだけきれいだと、次は味がどうなのかが気になってくるので飲んでみた。解かした雪を口に含んで、今度はちゃんと舌でころがしたら激マズ。冷凍庫の味がした。


ちなみに汚いほうも飲んでみたが、そっちも不味かった。



目のが汚い


雪は見た目が汚くなくても味は不味いので、僕に見えないところで汚いのだろう。ここまできたら、雪の真の汚さをこの目で確かめるしかあるまい。


目に見えない汚さを見るために、昔買ってもらったおもちゃみたいな顕微鏡を10数年ぶりに引きずり出してきた。最近は大学の実験で本物の顕微鏡を触ったこともあり、おもちゃ感が際立つ。


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アメリカンですごそうな雰囲気があるが、説明書は全部日本語(こどもだまし)


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ものすごく軽い


付属品に昆虫の足やら羽やらのサンプルがあったので、それで肩慣らしでもしようかと思ったらちっともピントが合わない。


プレパラートに水を載せてみたが、ましてや水の中の小さな物質なんて見えるわけもない。顕微鏡のしょぼさにがっかりしかけたが、レンズに何か映っているのに気が付いた。


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透明で気持ち悪いものが見えた


こいつは僕の眼球を動かす方向へ漂っていて、レンズには頻繁に黒くて尖ったもの(たぶんまつ毛)がちらついたりしていた。レンズには僕の眼球が映っているのかと思って調べてみると「飛蚊症」というのが出てきた。


「飛蚊症」というのは、目の中の硝子体という部分にある浮遊物が見えるという症状。目の表面が映っていたわけではなかった。今回レンズをのぞいてそれが見えたのは、明るいところをぼーっと見つめたからのようだ。


僕は雪の汚れではなく、レンズを通して自分の汚れを見たのだ。汚れていたのは雪ではなく、それを見つけようとする僕の目だった。






汚さがわかった


僕が飛蚊症であることが発覚したが、飛蚊症はなにか他の異常を見つけるための症状の一つであって、それ自体が病気なわけではないらしい。


最悪失明するような病気の可能性があるというのをみて、寒さではない寒気がした。変な感じがしたらできるだけ早く病院へ行こうと思う。


あ、雪の汚さのほうは、場所によって差があるけど、床に落としたミートボールをフーッとやって食べられる人なら全然食べても大丈夫です(たぶん)。味は一様に冷凍庫だけど。


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俺もこんどからはアイスにしよ





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